私は探偵である。
本名は探田偵介48歳。銭形金太郎を銭金と略すノリで気さくに探偵と呼んでほしい。
読者諸君は昨日の感謝祭をどう過ごしただろうか。「あんまり日本では感謝祭を祝わないだろう」と思うかもしれないが、探偵はハードボイドドな都会派タフガイなのでこの際アメリカ寄りでいく。
たしかに感謝祭は日本で生活しているかぎりはあまり関係のない日だが、国際常識として知っておくのに損はない。
探偵はスマイルブームのスタッフがどの程度国際的な感性を有しているか、調査の依頼を受けた。
感謝祭って「サンクスギビング」だっけ、「サンクスビギング」だっけ
そこかよ。
調査結果
先に正解を言っておけば、感謝祭は英語で「サンクスギビング・デイ (Thanksgiving Day)」。神に収穫 (giving) を感謝する日である。
ビギン (begin) すなわち始まりを感謝するわけではないし、そもそもビギンにingをつけるなら「ビギング」ではなく「ビギニング」だ。
そのためかスマイルブームでも、間違って「サンクスビギング」と答えるスタッフはそれほど多くはなく、全体の14%にとどまった。
ただし、その倍数のスタッフは、質問の意味すら理解していなかった。
調査報告
- サンクスギビング 57%
- サンクスビギング 14%
- 意味がわからない 28%
ちなみに正解を答えた証人も、その大半はゲーム『MOTHER』で覚えたとか、あてずっぽうで言ったら合っていたとかそんな調子だった。
追加調査結果
これではとても正確な調査結果とは呼べない。探偵のコケンに関わる問題である。探偵はさらに証人達につっこんだ質問を重ねてみた。
昨日が感謝祭だったと知っていたか?
一般に感謝祭は11月の第4木曜日(カナダでは異なる)で、厳密に言えばアメリカ時間ではまだ「今日」であるがさして問題はないだろう。聞いてみても誰も知らなかったし。
「そういえば昨日、スーパーで特売が……」
それは、たぶん関係ない。
そもそも感謝祭は何に感謝する日か?
ルーツをたどればイギリスからのアメリカ移住者が1620年の収穫を祝ったことが始まりとされるが、現代では大まかに「1年間の収穫、神の恵み」に感謝する日としてとらえられているようだ。
こう言ったところで、スタッフの誰もが首をかしげるばかりだが、実にこの中で1名だけ正解を答えたスタッフがいた。
「いや、なんとなく」
またあてずっぽうか。
感謝祭で定番の「アレ」といえば?
さすがに心配になってきたので、一般教養の範疇に入る質問に変えてみた。もちろん答はおなじみ「七面鳥」の丸焼きである。映画や小説でご存じという読者も多いだろう。
「……『サンキュー』?」
そりゃアメリカで感謝だけどさ。
「ぼうし」
「たいこ」
いったい彼らの中で感謝際はどんなイメージなのだろうか。
「ハロウィン!」
別の日、それ完全に別の日。
「『アレ』といえば思い出すのは漫画『ファミ通のアレ』……」
アレにこだわる場面ではない。
「そういえば、昨日テレビで『オーメン』を放送していたということは……」
もうその昨日の記憶に頼るのはやめろ。
「カメラ小僧ですね」
なんらかのファン感謝祭をイメージしていたと思われる。
調査報告
- 結局「七面鳥」と答えられたのは1人だけだった
- 一般教養すらもあやうい
- これから国際社会でやっていけるのだろうか