私は探偵である。
本名は探田偵介48歳、いきつけのスナックのママには「テイさん」で通っているが、諸君は気さくに探偵と呼んでほしい。
これまでスマイルブームを調査してきた中で頻繁にその名が挙がるキーワードに「ガンダム」がある。
ガンダムは彼らスタッフ達にとって特別な何かなのか? あるいはこれが動機(なんの?)の解明につながるかもしれない。探偵は調査を開始した。
「ザク」を描いてみてほしい
「ザク」とはガンダムに登場するアレである。これを即座に何も見ずに描けるかどうかは、ひとつの指標になるだろう。
容疑者の目撃情報を集めるつもりになって、社員に1人ずつザクの似顔絵を描かせたその結果が以下である。
証言A
まずはこの2枚の写真を見てほしい。どちらも同じ人物が描いた絵だが、表現にかなりのブレがあることがわかるだろうか。証人の印象は状況によって左右される。このことを強く裏付ける図と言えるだろう。
証言B
やけに自信なさそうに小さく描いた図だったが、意外にもかなり正確な目撃証言となった。
少なくともここまでの証拠写真では皆ザクについて正しいイメージを把握していることがわかる。
証言C
一方こちらは自信満々に描き出したものの、描き続けるうちに傷口が広がっていった。おそらくあちこちがズゴックとごっちゃになっている。
証言D
いわゆるSDのザクだろうか。あちこちにあいまいな部分は見られるものの、要所はおさえているという点でこれもザクを正しく把握していると考えられた。
証言E
なぜか顔の横から伸びる動力パイプという意匠と、半球型の頭部ラインというディテールだけは押さえてあるのだが、それ以外はすがすがしいまでにザクと無縁だった。
証言F
最大の問題作と言っていいだろう。「モビルスーツ」という概念を知っていてザクI・ザクII・ザクIIIという区分まで分かっていながら、かけらほどもかすっていない絵に探偵は戦慄を覚えた。
「固い」か「硬い」かで迷っている点について言えばザクはおそらく後者だが、もはやそういう問題ではない。
調査報告
- 約半数が「ザク」をほぼ正しく認識していた
- 基本的には知らないのに妙なディテールだけ知っているのが不思議だ
- 「シャア専用」の認知度は異様と言わざるを得ない