私は探偵である。
本名は探田偵介48歳、夏のボーナスはローン返済にあてるサラリーマン。気さくに探偵と呼んでほしい。
くせ者ぞろいのスマイルブームの面々に今回聞き込みを行なったのは、彼らなら意外な情報(タネ)を知っているかもしれないとふんだからだ。すなわち、
最近見つけたおすすめの逸品は?
どんな答が導かれるのか、先の読めないテーマに探偵が聞き出した情報は次の通り。
証言A
「『さわれるシャボン玉』。吹いてから少したつと、割れなくなるやつ」たしかに珍しいし面白い玩具かもしれないが、本当に「おすすめの逸品」なのだろうか。
「そりゃご機嫌で友達にあげたら、それほどにはノッてなかったけど……」社会人だしな。
証言B
「プラモ用のつや消しスプレーくらいかなあ……」それはそれで、おすすめの逸品としては結構珍しい。
「いや本当に凄いですよ、塗装もせずに組んだプラモにサッと吹きかけるだけで一気に見た目完成度が上がるんですよ! オススメ」おすすめされても、困る。
証言C
「『金剛番長』が面白かったな」探偵の記憶が正しければ、「週刊少年サンデー」連載の、色々な意味で凄い作品だ。真っ先にそれを出すとはただごとではあるまい。
「単行本でも買ってるけどまだ2巻で、サソリ番長が出る前だったかな? たしか剛力番長までは出てたけど、卑怯番長はどうかな……。この間連載分をまとめ読みした後だからその辺あいまいで……」漫画本編を知らない人にこの証言見せたら、いったいどんな漫画だと思うだろう。警官にこってり絞られそうだ。
証言D
「『俺たちフィギュアスケーター』のDVD買いましたよ」そのタイトルはかつて聞き出した証言だ。そこまで好きだったのか。それにしても、証言としては目新しいところが無い。何か新たに得られる情報はないものか……。
「DVDには特典映像としてNG集がついてきます」それは、買いかもしれない。よもや特典に惹かれてこの事件が!?(事件?)
- こうして見ると暮らしの中のおすすめがひとつも無い事に気付く
- すなわち彼らの社会性に疑問を呈さざるを得ない