私は探偵である。
本名は探田偵介48歳、サラリーマン。気さくに探偵と呼んでほしい。
まだ謎の多いスマイルブームの内情を調査し、白日のもとにさらけだすのが私こと探偵の仕事だ。
今回調査するテーマは、
最近見た映画で、面白かったのは?(テレビ放映、レンタルも含む)
映画といえば誰もが見るメジャーなメディアであり、かつ個人の好みもハッキリ出るものだ。スマイルブーム社員のひととなりを知る足がかりとして十分だろう。
私は匿名を条件に、社員数名から証言を聞き出した。以下はその要約である。
証言A
「映画は見てないけど、ドラマの『デスパレートな妻たち』をシーズン2まで見た」のっけからテーマ全否定か。
証言B
「『××××』見た! すげえつまんないのこれが」だから面白かった映画の話をしろ。
「いや本当にこの間見た『××××』で失敗したからさあ。悩んだ末に選んだらまた失敗で」そういう話はフセ字になって読者にはなんのことかわからないだろうから、面白かった映画の話をお願いする。
「……『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』?」か、かなり前の映画だがクレヨンしんちゃんか。いや、むしろ家庭人らしいといったところだろうか。
「それにしても『××××』は」うるさい話を戻すな。
証言C
「最近見てないからなあ」またそれか。
「見たのといえばダンバインくらいで」『聖戦士ダンバイン』か。異端のロボットアニメながら名作と聞いているが、あれ映画化されてたっけ?
「いや。テレビ版のDVD」どいつもこいつも。
「一番最近見たのは『××××』くらいかなあ」
「ああ、私もそれ見たけどすごく××××な映画だと思った。全然記憶に残んなくて」証言に割り込むな。あと面白かった映画の話をしろよチクショー!
「あー思い出した! タイトルは忘れたけど××××するコメディ映画見た! あれたぶんアメリカ人だったら面白い映画だと思うんだけど……」うるせえな!
証言D
「テレビでやってた『八甲田山』。面白かったなあ」1977年公開作品だな。また渋いところをつく。
「あれは名作ですよ。健さんもいいけど、脇を固める役者が絶品で何といっても三國連太郎の……」とても30代前半の感想とは思えないが、はたしてこの証言は信用していいのだろうか。
「あ、最近だとレンタルで見た『シュレック』は凄かった。大人向けで」八甲田山からシュレックというのもすごい振れ幅だ。
「そうそう、俺もシュレック好き」
「シュレックいいですよね」シュレックという単語が出たとたんにおおぜいが話に割り込んでくるというオフィスは、はたしてオフィスとして機能しているのだろうか。
証言E
「『俺たちフィギュアスケーター』は最高でしたよ」ほう、初めて最近の劇場公開作品が出てきたな。
「それオレが一番見たかったのに、こいつ1人で見に行っちゃうんだもん」本当に話に割り込むなこの連中は。
「タダ券あるっていうから、じゃあみんなでコレ見に行こうって話したんですよ。でもみんな全然乗ってこなくてうやむやになって、なのにこいつだけ1人で見に行ってんですよ。タダ券はその日で期限切れになるしよくわからんが、もうお前が犯人だ!
- スマイルブームのスタッフは意外と映画を見ないようだ
- あと奴らは人の話を聞かない
- シュレックは大人気