私は探偵である。
本名は探田偵介48歳、営業課課長代理。気さくに探偵と呼んでほしい。
今回探偵が依頼を受けたテーマは、
今期注目している新番組は?
時期的に今聞いておかなければならないギリギリのラインだ。
スマイルブームを内偵したところ、多くが出張や打ち合わせに出ていて人数が少ないようだ。これは使える……こんな時には誰も聞いていないと思って本音がポロリと出るもの。私は探偵のカンに従い、数名に対して聞き込みを開始した。
証言A
「『コードギアス』を楽しみにしてたんですけどね」うむ、のっけからいい歳をした大人がアニメの話を始めるとはオープンだ。調査に手ごたえを感じる。『コードギアス』といえば人気だった前シリーズの終了から半年、今期は全国ネットに進出・時間帯も深夜から日曜夕方に移るという話題作だったはずだ。
「見ようと思ったら、寝過ごしちゃいまして」いや、いま日曜夕方って言ったばっかりだよな。
「4時ぐらいになんだか眠くなって、気がついたらそのまま」どうやらこのダメ人間から証言を引き出すのは難しそうだ。
証言B
「『ドルアーガの塔』見ましたよ」またしてもアニメだ。この符号には何か意味が……? しかし『ドルアーガの塔』。元は往年の名作アーケードゲームで、その意味ではITコンテンツ企業とされるスマイルブームらしいチョイスと言えるかもしれない。
「まあ原作とまったく関係なさそうなオープニングから始まるんですけどね」この相手もてごわい。だんだん聞かなきゃよかったという気がしてきた。
「第1話がふるってるんですよ。最初いかにも夢オチっぽいストーリーが展開して、寅さんよろしくいつ夢から覚めるのかなーって思ってずっと見てたら、夢からさめたのがもう第1話の最後!」すごくイキイキと話しているが、大丈夫なのかこの批判めいたトークは。
「いやあだって『ザ・ブルークリスタルロッド』(※原作ゲームの完結編)の時点ですでに内輪ネタとかムチャクチャなクイズとか入ってたもん。あれが原作にある以上どうなろうと不思議はないですよ」原作を愛していることは分かった。この男は犯行(なんの)には関わっていないのか……?
証言C
「テレビは見てない」前回に続いてまたこういうのか。もうアンテナ捨ててしまえ!
「いや駄目だよ地震速報みれないじゃん」ネットやラジオでいいのでは……? それ以前にそこまで地震速報に注目する意味もよくわからないが。
「いやいや深夜の地震速報すげえ面白いんだぞ。アナウンサーが物凄く眠そうだったり、ヨレヨレのシャツとネクタイのまま出てきたり」なんでそこでイキイキと話すかな。
「次の情報が入るまで謎のイメージビデオが見れたり、情報が入ってきてるのに気づかないで打ち合わせしてたり、あれはアドリブ劇のひとつの頂点だよな」うむ、多分ちがう。
- テレビにはアニメと地震速報さえあればそれでだいたいいいらしい
- こいつらはダメ人間である
- 次はもうちょっと人のいる時にしよう