私は探偵である。
本名は探田偵介48歳、もちろん探偵業はこれといってしていない。気さくに探偵と呼んでほしい。
今回はスマイルブームの面々の過去にメスを入れることとなった。
たとえ時効とはいえ、犯罪は犯罪(なんの?)。糾弾するつもりはないが、依頼とあれば過去の身辺調査も探偵の仕事である。
よく聴いていたラジオ番組といえば?
たかがラジオ番組とあなどることはできない。青春時代の影の華といえば深夜ラジオ。その思い出から時代とともに人の背景が見えてくるものだ。社会派ミステリである。
証言A
「『鶴光のオールナイトニッポン』と『ザ・パンチ・パンチ・パンチ』……」
微妙にお色気が混じっている番組が多いな。
「でも一番よく聴いたのは西田敏行の『パロディカル・ナイト』だな」
もう何の番組かよくわからない。早くも捜査に暗雲がたちこめてきた。
「ひどい番組でさあ。西田敏行が日本むかしばなしを朗読するんだけど、それは録音で西田敏行は同時通訳とか言って英語っぽいアテレコしたり、くだらなくて良かったなあ」
これは探偵のカンだが、むかしばなしメインのように語っているがおそらくそれがメインの番組ではあるまい。
証言B
「ラジオと言えば『ラジアメ(ラジオはアメリカン)』でしょ。斉藤洋美の頃だったけど」
斉藤洋美といえばラジアメの2代目パーソナリティーだが、たしかに在籍期間は歴代DJの中で一番長い。
ラジアメと言うとあのナムコ(現バンダイナムコ)がスポンサーで番組にも深く関わっていた事でも有名だが、スマイルブーム社員としてはどちら目当てで聴いていたのだろうか。
「構成作家だな」
鶴間か!
証言C
「『赤坂泰彦のミリオンナイツ』と、……やっぱり赤坂の、ほらその後で早朝にやってた番組」
おそらく状況証拠から考えて『赤坂泰彦のthis is the RADIO』だろう。赤坂泰彦ファンなのか?
「そういう訳でもなかったんだけど、2つともいい番組でねえ。もっと長く続いていい番組だったと思うんですよ」
ラジオ番組はテレビ放送と違って長寿番組が生まれる事も多いが、まったく急に打ち切られるケースも多い。これも時代が生んだ悲劇と言っていいだろう。
証言D
「車を運転してると、放送局の範囲が変わって聴けなくなったり……」
あるあるかよ! しかも微妙な!
「だってラジオ聴かないから、思い出といったらそれぐらいだし」
この始末である。こういう声も多かったので、とりあえずまとめて聞いてみた。
「子供の頃じいちゃんの家に行く車の中でかかっていたくらいの思い出ぐらいしか……」
もう思い出どころか、思い出の背景の一部でしかない気がする。
「必ず野球がかかってるんですよねえ。また野球かあ……って」
それは単に運転手の趣味の問題ではないだろうか。
「定番なのは受験の時に深夜ラジオ聴いてたら、勉強そっちのけでラジオばかり聴いてたとか。実際にそんな経験はないですけど」
なら言うなよ! 結局あるあるかよ!
「大学の先輩がいつのまにかローカル局のパーソナリティに応募してて、しかも受かってた」
パーソナリティの一般公募というのは意外によくある話らしいが、実際に知り合いが合格したという話はなかなか聞かない。栄誉と言っていいのだろう。
「でも、その番組聴いたことないよ」
聴いてやれよ! 仮にも先輩だろ!
- 世代によって驚くほどばらばらに別れた
- 若者(?)のラジオ離れは深刻である
- 北海道なのに意外と誰もアタックヤングを聴いていないものだなあ