エンタテインメントコンピューティング2015(EC2015)をご存じでしょうか。
「情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会」様主催の、ここから誤解をおそれずひらたく言いますが、娯楽とテクノロジーの研究発表会です。今年で13回目という由緒ある学会なのです。
今年は初の札幌開催。エンタメとコンピューターと聞いては黙っていられない私たちもスポンサードしていますが、その内容は私たちに似合わないほどまじめです。日本各地の大学や専門学校、企業が集って、技術とエンタメを結びつけて世の中をちょっと良くする研究がここで発表されました。
たぶん世の中の「学会!」というイメージに近い発表や講演もありますが、やはり全面的に一般公開されているデモ展示など親しみやすいでしょう。参加研究者みなさんの研究成果に実際にふれて体験できるスペースです。
いくつか簡単に(本当にかなり簡単に)紹介してみると……
- 鼻の温度を測って「乗り物酔い」を見つけるデバイス
- トイレでお小水の色がLEDライトで確認できるシステム(病気の早期発見のためのまじめな研究です)
- ロボットをわざとヨロヨロさせる事で親しみをもたせる研究
- インタラクティブ絵本を直感的な漫符(汗とかハートとか)で操作するユーザーインターフェース
- 「歩きスマホ」の事故を減らすためのカメラ映像のオーバーレイ実験
……等々、はっきり言って全部面白いです。
発表を2分30秒で高速紹介するムービーはこちら。気になった発表は論文をダウンロードしてはいかがでしょう。そこは論文、書き方は難しいかもしれませんが興味があると意外に読めるものです。
EC2015についての紹介は以上で、もうこの先はおまけですが私たちも研究発表をしています。
その名も「ゲーミフィケーションを利用した多人数参加型実世界指向インフォーマルコミュニケーション支援システム」と言い、たぶんいま読み飛ばされたと思いますが、ひらたく言いなおすのでご安心ください。
たとえばまさに学会なんかそうですが、おおぜい初対面の人どうしが顔を合わせる場があります。新入学したてのゼミや、パーティーなんかもそうですよね。こういうのはよほど世慣れてないと積極的に話かけづらく気まずいもの。そこでちょっとしたゲーム要素を取り入れて、「おおぜいとつながるほど高ポイント」「連絡先が自然に交換できる」「話題を提供する」といった機能のスマホアプリを作ってみるという実験です。
実際に小樽商科大学の新入生に試してもらった結果は? ぜひ論文(pdfファイル)をごらんください。
さらにデモスペースではもう1ブース、技術デモと天売島の観光促進をかねた(だいたい本当です)『バーチャル天売島』を展示していました。
これはヘッドマウントディスプレイ『Oculus Rift』を使って、全方位3D空間を構築したもの。北海道地図株式会社様、天売島おらが島活性化会議様の協力(本当)によってリアルな天売島の上空を飛行するウトウ(鳥)の視界が楽しめます。
なお、そこはゲーム開発もやっております当社なので、ウトウのヒナとなって時速60kmでエサを運ぶ親鳥をキャッチする(?)ミニゲームも。〈ウトウの子育て〉は有名ですし本当に時速60kmで飛ぶ鳥ですが、たぶんこういうことじゃないと思います。実際にプレイした方々からは、「猛スピードでぶつかってくるのですごい迫力」と評判でした。くり返しますがウトウの子育てはそういうことじゃないはずです。
スマイルブームの発表は以上ですが、ほかにも会場をジャックした体験型ゲーム『Organized Game 2015』の技術協力もさせていただいております。ゲームの模様はこちらの当日のツイッターまとめが詳しいです。
EC2015の3日目には、小学生を対象にしたプログラミングのワークショップもやっているのですが、それについては別の記事で。