サンプルプログラム7 (その4)
プログラマーからひとこと
ついにサンプルプログラムを見ていく旅もここで終わりです。RPGなら光とか青空とか出てくるムービーが始まるころですが、まだ今回もサンプルプログラムがゲームとして完成してはいないので、青空がふいにくもって真のラスボスが出てくる場面と言ったほうがいいでしょうか。
そこはどうだっていいですね。
今回はゲーム用語のいわゆる「当たり判定」から始まります。
思えばゲームっぽい話がたくさん出てくるサンプルプログラムでした。
あなたのプログラムのウデもかなり上がったんじゃないでしょうか。
これが終わったら、自分でカンタンなゲームを作ってみるのもいいかもしれません。
いまのは死亡フラグみたいなセリフでしたが、フラグのことも学んだあなたなら、このていどのフラグはFALSEにできるはずです。
当り判定を付けよう
インテリ「いままでのプログラムリストをゼンブまとめてみると、こうだったよね。」
神崎「変数EMAXを敵の数に使うようになってるんだね。」
ハカセ「敵の数をいつ変えたくなってもいいワケじゃな。前にもちらっと話したが、変数にできるトコロは変数にしておくのはダイジな心くばりじゃ。」
ワンパク「まだデキてねェところは……ショットが敵に当たったトキ、か。」
インテリ「プログラムでショットが敵に当たるというのは、どういうコトかを考えるとわかるんじゃないかな?」
神崎「うーん、ショットの場所と、敵の場所が重なったとき……かな?」
ワンパク「ショットの場所は変数MXとMYだったよな……。敵の場所はEX(I)とEY(I)だから……。つまり、こんなカンジか!?
」
0080#. IF MX==EX(I) AND MY==EY(I) THEN GOSUB @EOUT
配列変数(I)をツカッてるから、敵をウゴかすFOR~NEXTの中に入れないとイケねェな。」
CHKCHR()命令
ワシじゃワシじゃ、今回はやたら顔を出すハカセじゃ。ここでは話のナガレ的に出てこなかったが、当たり判定にベンリなCHKCHR()という命令があるのを知っておったかな?
このサンプルにはカンケイない話じゃが、カンタンにセツメイしておくぞい。
- CHKCHR()命令
- たとえばA=CHKCHR(0,0)と書くと、そのトキ画面の(0,0)のバショにナニが表示されているか変数Aに入るのじゃ。
(0,0)というのはLOCATE命令で使うのと同じヨコ方向とタテ方向の数じゃな。 - 文字コード
- A=CHKCHR(0,0)と書いたトキに変数Aに入るのは、「
ASCII 文字コード」という数字じゃ。ナンのことかワカらんじゃろうが、ココのいちばん下を見てくれい。左上から順に0、1、2……と数がわりふられているのじゃぞ。今回のサンプルで使っている敵「Е」なら文字コードは6番じゃな。
もし今回のサンプルのように、ショットの場所(MX,MY)に敵「Е(文字コード006)」がいるかどうかチェックしたければ、IF CHKCHR(MX,MY)==006 THEN~とやればいいワケじゃな。
インテリ「ここまではいい調子じゃないか。敵にショットが当たったコトが分かったら、次は敵がやられるルーチン@EOUTだね。」
神崎「このサンプルだと、ショットが当たった敵はすぐに消えるから、敵を空白スペースで上書きすればいいのかな。
0108#. @EOUT
0109#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0110#. RETURN
」0109#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0110#. RETURN
ワンパク「タシカにそうだが……ちょっと待てよ。コレだと、次に敵のターンがきたトタンに、消えた敵もまた出てきちまうぜ!」
神崎「そうか、敵を動かすためにいつも書きなおしていたんだっけ。
いちどショットが当たった敵はPRINTしちゃダメってことだなあ。」
いちどショットが当たった敵はPRINTしちゃダメってことだなあ。」
インテリ「これも、いままでの応用でなんとかなるんじゃないかな?」
ワンパク「そうか! フラグを使うんだな!」
神崎「敵1匹ずつに割りあたってるフラグっていうと、ED(I)だね。
」
ED(I)=0 | 右に動く | X=31になるまでX+1 | @RI |
---|---|---|---|
ED(I)=1 | 下におりる | 1回だけY+1 | @DW |
ED(I)=2 | 左に動く | X=0になるまでX-1 | @LF |
ED(I)=3 | 下におりる | 1回だけY+1 | @DW |
インテリ「消えたっていうトクベツなフラグだから、数字には-1をあてはめようか。
110行に追加しておこう。
ED(I)=-1 | 消えた | 表示しない | @EOUT |
---|
0108#. @EOUT
0109#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0110#. ED(I)=-1
0111#. RETURN
」0109#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0110#. ED(I)=-1
0111#. RETURN
ワンパク「これでフラグは立ったから、次は敵の表示のトキにそのフラグを調べるのが……えーと、ドコがいいんだ?」
インテリ「Еを書いて消すなら、FORループの中ならどこでもいいとも言えるけど。でもどうせなら、もう表示しないってくらいがいいだろうね。」
神崎「じゃあ、最初の方だね。
」
0072#. FOR I=0 TO EMAX-1
0073#. IF ED(I)==-1 THEN @PASS
#####.
0081#. @PASS
0082#. NEXT
0083#. RETURN
これでED(I)フラグが-1のときは表示もされずに、次の敵まで飛ばされるよ!0073#. IF ED(I)==-1 THEN @PASS
#####.
0081#. @PASS
0082#. NEXT
0083#. RETURN
」
ワンパク「待てよ……? ハハァ、ピンときたぜ!
こうなってくると敵が減れば減るほどごっそりスキップする行が多くなるよな。つまり、敵をタオせばタオすほど、ゲームのスピードが早くなるってワケだな!」
こうなってくると敵が減れば減るほどごっそりスキップする行が多くなるよな。つまり、敵をタオせばタオすほど、ゲームのスピードが早くなるってワケだな!」
ハカセ「ウムウム。どうやらショクンも、プログラムがダイブ身についてきたようじゃな。」
ワンパク「負ける気がしねェゼ!」
ハカセ「じゃが、せっかくならココで、よりコウリツのいいプログラムにチャレンジしてみんかな?」
処理のスキップをおぼえておこう
ワンパク「コウリツときやがったか。プログラムが動けばそれでいいんじゃねェの?」
ハカセ「ム……ム。そういう考えもたしかにアリじゃが。
ひとつにはプログラムの動作スピードが早くなるテクニックなので、オボエておけばアトアト「重い」プログラムを動かすのに助かる、というコトはあるぞい。」
ひとつにはプログラムの動作スピードが早くなるテクニックなので、オボエておけばアトアト「重い」プログラムを動かすのに助かる、というコトはあるぞい。」
神崎「アクションゲームにある「処理落ち」とか、そういうやつ?」
ハカセ「まあそんなトコロじゃな。もうひとつのメリットとしては、プログラムが見やすくなるコトもある、とも言えるのう。」
ワンパク「「見やすくなるコトもある」……?」
ハカセ「逆に見にくくなるコトも、ときにはあるかも……」
神崎「えー……」
ハカセ「ま、まァまァ! じゃからこそ、シンプルプログラムのイマのうちにオボエておこうという話じゃよ。なに、たいしてムズカしいコトではないぞい。」
インテリ「ハカセが言いたいのは、たぶんこの部分ですね。
0080#. IF MX==EX(I) AND MY==EY(I) THEN GOSUB @EOUT
」ハカセ「さすがはインテリ君じゃな。さよう、ソコは「敵がやられたとハッキリ決まったら、やられルーチンに行って帰ってくる。それ以外は普通に進む」となっておる。」
ワンパク「それでフツウじゃねえか?」
ハカセ「しかし、こうすればどうじゃ。
0080#. IF MX!=EX(I) THEN @PASS
0081#. IF MY!=EY(I) THEN @PASS
0082#. ’--- シホ゛ウ
0083#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0084#. ED(I)=-1
0085#. @PASS
0086#. NEXT
」0081#. IF MY!=EY(I) THEN @PASS
0082#. ’--- シホ゛ウ
0083#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0084#. ED(I)=-1
0085#. @PASS
0086#. NEXT
ワンパク「ン? ……ンンン? 83~84行目は、さっき作ったやられたトキのプログラムだよな。
80行目でMX!=EX(I)ってコトは、ショットのヨコ位置と敵のヨコ位置がチガうってコトだろ。ツマリ当たってないから、@PASSに飛ぶよな。」
80行目でMX!=EX(I)ってコトは、ショットのヨコ位置と敵のヨコ位置がチガうってコトだろ。ツマリ当たってないから、@PASSに飛ぶよな。」
神崎「81行目のMY!=EY(I)もタテ位置になっただけで、同じことだね。
そのどっちでもないって時は、かならずショットが当たっているって言えるから、そのままやられたことになる……」
そのどっちでもないって時は、かならずショットが当たっているって言えるから、そのままやられたことになる……」
ハカセ「さよう。もともとのMX==EX(I) AND MY==EY(I)という条件式は、ハッキリしとるがそれだけチェックに時間がかかるものじゃ。
新しいプログラムじゃと、カンタンな理由さえあればザクザク切っているのがワカるじゃろう。」
新しいプログラムじゃと、カンタンな理由さえあればザクザク切っているのがワカるじゃろう。」
インテリ「やってるコトも、GOTOで飛ぶだけだしね。
それに、まだ敵のやられチェックをカンタンにする方法は残っているよ。
」
それに、まだ敵のやられチェックをカンタンにする方法は残っているよ。
」
ワンパク「ツマリ今は「敵がゼッタイにやられてない」条件をサガせばいいってコトか? ……やられてないトキ……逆に言えば、やられるのはショットが当たったトキだけ……よし! ゼンゼンわからねえ!」
神崎「ものすごくあきらめちゃったけど、たぶん「ショットが画面に出ていない間は、敵はやられない」と言えるんじゃないかな。」
インテリ「ソコだね! ショットは変数MSTで表示フラグをカンリしていたから……あとはカンタンだよね。
0080#. IF MST==FALSE THEN @PASS
」ワンパク「ナルホドな。言われてみりゃ、そのとおりだぜ。……てことは、何も言われずにコレいきなり見たら、どういうイミなのかワカりづらくねェか?
スナオにIF MX==EX(I) AND MY==EY(I)って書いてあった方がカンタンじゃねえの?」
スナオにIF MX==EX(I) AND MY==EY(I)って書いてあった方がカンタンじゃねえの?」
ハカセ「ぜんぶヒテイされてもうたが……そのキモチも、ワカらんでもないわい。スピードを気にせんでいい初心者のコロなら、ムリしてまでやるコトではないのはタシカじゃ。」
インテリ「でも、人のプログラムリストを見るときに「どうしてこんな書き方を?」ってギモンはなくなるんじゃないかな。こういうプログラムの書き方があると知っておくのはムダじゃないよ。」
ハカセ「ナイスフォローじゃ、インテリ君!
プログラムの書き方にはヒトそれぞれイロイロなポリシーがあるものじゃが、そういう考え方を知っておくのもひとつのベンキョウじゃぞ。」
プログラムの書き方にはヒトそれぞれイロイロなポリシーがあるものじゃが、そういう考え方を知っておくのもひとつのベンキョウじゃぞ。」
ワンパク「ベンキョウってヒビキは気にくわねェが……ツギからこういうスキップのしかたを見てもナットクできるのはタシカか。」
当たり処理の仕上げをしよう
神崎「あれ? このプログラムRUNしてみると、ときどきショット1発で何匹も倒せることがあるよ。」
ワンパク「ホントだな。こりゃアレだぜ、パワーアップとかによくある「カンツウダン」の動きになってるな!」
インテリ「「貫通弾」だね。シューティングゲームだと、敵に当たったらそこでショットは消える方がオーソドックスかな? このゲームならそうしないとカンタンすぎるしね。」
神崎「ええと、敵に当たったらすぐにショットを消すわけだ。
さっきもやったけどショットの表示フラグは変数MSTだったね。
さっきもやったけどショットの表示フラグは変数MSTだったね。
0083#. ’--- シホ゛ウ
0084#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0085#. ED(I)=-1
0086#. MST=FALSE
」0084#. LOCATE EX(I),EY(I):PRINT” ”
0085#. ED(I)=-1
0086#. MST=FALSE
ワンパク「1行ふやしただけか。イガイにアッサリいくんだな。」
インテリ「フラグはうまく使うと、いろいろラクになるものさ。」
神崎「あとは、敵を倒したらスコアも上げないとね。」
ワンパク「コレはそうムズカしくなさそうな気がするぜ。
とりあえず、サイショに画面の上の方に出しておくんだろ?
」
とりあえず、サイショに画面の上の方に出しておくんだろ?
0026#. LOCATE 0,0
0027#. PRINT”SCORE: ”;SC
変数SCをスコアってことにしておいたぜ。0027#. PRINT”SCORE: ”;SC
」
神崎「そして、敵がやられた時に10点プラスすれば完成かな。
0085#. ’--- シホ゛ウ
0086#. SC=SC+10
0087#. LOCATE 7,0:PRINT SC
」0086#. SC=SC+10
0087#. LOCATE 7,0:PRINT SC
ハカセ「うむ、それで合っておる。合っておるのじゃが……。」
ワンパク「ナンだ? RUNしても、ナニもモンダイはなさそうだぜ?」
ハカセ「しかし、ワシとしてはこういうプログラムをテイアンしたい!
」
0085#. ’--- シホ゛ウ
0086#. SV=SV+10
#####.
0110#. @SCORE
0111#. IF SV==0 THEN RETURN
0112#. SC=SC+10
0113#. SV=SV-10
0114#. LOCATE 7,0:PRINT SC
0115#. RETURN
メインループから@SCOREにGOSUBすると考えてくれい。0086#. SV=SV+10
#####.
0110#. @SCORE
0111#. IF SV==0 THEN RETURN
0112#. SC=SC+10
0113#. SV=SV-10
0114#. LOCATE 7,0:PRINT SC
0115#. RETURN
」
ワンパク「どういうこった? 敵がやられたトキは、ただ変数SVに10点プラスして終わりかよ?」
神崎「そのあとで、変数SCを変えてPRINTするのはサブルーチン@SCOREでやるんだね。そこで変数SVもー10して、またゼロに戻る……」
ワンパク「イミがワカらねェな! プログラムが長くなっただけじゃねえか!」
インテリ「先に言っちゃうと、これはLOADしたサンプルプログラムだとこうなってるんですよね。」
ハカセ「さよう。なぜワシがこんな一見ムダに見えるプログラムにしたのか、ソコがワカるかの?」
ワンパク「ムググ……サイゴになってイガイなナゾトキだぜ……。どう見てもムダにしか見えねェが……。」
ハカセ「いやジッサイ、このプログラムのままじゃと、ホントにムダなのじゃ。」
ワンパク「バカにしてんのか!」
ハカセ「このサンプルプログラムはユーザーのショクンの手でカンセイさせるためのモノじゃからのう。そこでイミが出てくるように作ってあるのじゃよ。」
神崎「うーん。そうは言っても、どういう時にヤクに立つのか……」
インテリ「こういう何のためにあるのか分からないプログラムは、関係のありそうな数をデタラメでも変えてみると、あんがい目に見えて分かるコトもあるよ。」
ワンパク「というと、たとえば敵がやられたトキのSV=SV+10をSV=SV+1に変えてみる、とかいうコトか?
ヤミクモにRUNしてやろうじゃねェか!」
ヤミクモにRUNしてやろうじゃねェか!」
インテリ「画面の前のみんなもジッサイに変えてためしてみよう!」
ワンパク「ウ、ウォオ!? 敵を1回撃ったら、スコアが上がりツヅケて止まらねー!」
神崎「そうか……考えてみればこうなるのはトウゼンではあるよね。」
ワンパク「アァ? ブツブツ……SVが1になってそのアト10引いてまたモドッて0じゃねェからまた10……フムフム。そりゃスコアがいつまでも上がりっぱなしにもなるな!」
インテリ「みんなもプログラムの流れを読むと、何が起きたのかだいたいわかるよね!」
ハカセ「わざとデタラメにやっておるのじゃから、おかしな動きになるのはトウゼンじゃな。
しかし、このスコアを見てナニかに気付いたのではないかの?」
しかし、このスコアを見てナニかに気付いたのではないかの?」
ワンパク「いや、ベツに……」
ハカセ「ココまでのナガレがダイナシになるのう……」
神崎「あっ! スコアが10点ずつアニメーションで増えるように見えるよ!」
ワンパク「そりゃタシカにそう見えるけどよォ……。メインループを1回通るたびに10点増やしてんだからトウゼンじゃ……ハッ!?」
インテリ「いいトコロに気付いたね。ギャクに言えば、メインループを1回通るたびに点を増やすようにすると、アニメーションで点数が増えて見えるワケだ。」
ワンパク「ナゾがとけてきたゼ……こうすりゃハッキリするな。さっきSV=SV+1にしたトコロをSV=SV+100にしてRUNだ!」
ハカセ「うむ! 止まった画面ではよくワカらんが、ミゴトに1匹倒すごとに100点が入り、それが10点ずつアニメーションしておる。」
ワンパク「サブルーチン@SCOREを通るたびに、変数SVがカラになるまで10点ずつ増えてるからな! コレはメインループの中でナンドも通ることにイミがあったってワケだ!」
ハカセ「モトモトは、たとえば1匹だけ高得点の敵がいるとして、そいつを倒したときにボーナスっぽく、と作ったブブンだったんじゃが、コレももちろんセイカイじゃぞい。」
ワンパク「まさかサイゴにこんなクイズがノコッてたとはな……。」
インテリ「プログラムをヒトに渡す時は分かりにくい処理にはコメントを付けておくのがキホンだけど、初心者向けのカダイとしては、まあ良かったんじゃないかな。」
ハカセ「ケッキョクそういうアツカイなのかのう……?」
- 当たり判定
- いちばんオーソドックスな当たり判定は、ぶつけるモノの位置とぶつかられるモノの位置を比べることです。ヨコ座標とタテ座標が一致すれば、それは当たっているということになります。
- CHKCHR()命令
- (変数)=CHKCHR(横座標,縦座標)
画面の指定した座標に、何のキャラクターが表示されているかが、文字コードで変数に入ります。