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イベントレポート

2017年6月16日(金)開催

公開授業

宇都宮大学教育学部附属中学校の公開研究発表会に参加しました

 2017年6月16日に宇都宮大学教育学部附属中学校にて実施された「第62回公開研究発表会」の一環として「プチコン3号 SmileBASIC」(以下、プチコン3号)を使った公開授業がありました。

 この研究発表会は、宇都宮大学教育学部附属中学校が取り組む「思考を深める授業の創造」を主題とした研究発表を目的として開催され、各教科(国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭(技術分野)、外国語(英語))の学生の創造性を高めるための工夫した授業を通して、教育関係者が見学し意見交換を行い授業内容の質を高めていく先進的教育の取り組みを行う授業研究会です。

 プチコン3号を利用した授業は、上期の「技術」の8時限という授業数の中で行われます。その構成は、プチコン3号で入力された文字を表示するプログラムや音を鳴らすプログラムなどを通じてプログラミングの基本を学び、最終的には計測・制御のプログラミングを一人で行えるところまで到達することを目標とした構成です。今回は、中学3年生(40名)の「技術」の公開授業としてシラバスとしては最終段階である、ニンテンドー3DSの内蔵センサーを使用した計測・制御システムに学生のアイディアを取り込み、その成果を発表するグループワークが行われました。


基本プログラムの資料は授業中いつでも確認できるよう教室内に掲示

 教鞭を取るのは、技術科目の顧問である上岡惇一先生です。授業では、グループごとに学生同士でアディアを相談しながら、プログラムを完成させ、最後にグループワークの成果として皆の前で自分達のアイディアを実演込みで発表するという授業が行われました。


技術科目の上岡先生。1年生のクラスを担任されています。

 実際の授業では、はじめに上岡先生から前回の授業で実施した計測・制御プログラム制作の振り返りと、今回の目標が説明されました。グループワークは班ごとに分かれて行い、ニンテンドー3DSは学生1人に1台が配布されます。グループワークが始まると、各班がアイディア出しとディスカッションを行い、まず、各班でプロジェクト名と概要を記載したボードを作成します。その後、プログラミングに着手し、併せて、成果発表の準備を進めます。

 今回参加されている教育関係の方々と共に各班の作業を見学しましたが、どの命令を使用すればいいか悩んだり、間違った箇所を探すエラー解析に時間がかかったり、数多くある音源の選択に迷ったりと、学生それぞれが苦労しながら取り組んでいました。また、各学生がプチコン3号に備わっている命令入力支援機能や内蔵のオンライン ヘルプで命令の説明を見ながら入力を進め、時には学生同士で教えあったりしながら作業を進めていました。


傾きを検知して起こすように音で知らせてくれる作品。学生の着ている専用のベストは先生の特製です

 授業が終わってから、今回研究会に参加された教育関係の方々との意見交換を行いました。取り組みとしての全体的なゴール設定の難しさや、授業として内容を向上させていく方策など、教育の視点で見ると課題も多く残っていましたが、学生の身近にあるゲーム機「ニンテンドー3DS」を授業に取り入れることで、ロボットや制御ボードにありがちな敷居の高さを払拭できるため、計測・制御といった授業での課題に興味を向けやすくなる点でのメリットがあることを参加者の多くが高く評価していました。


プチコン3号を使用してプログラミングに取り組む学生

 我々は、今回のように実際の授業でニンテンドー3DSを使用してみることも、可能性や効果を測定する点において、ひとつの有効なアプローチであると考えます。

 今回のワークショップは、一昨年の夏に栃木県総合教育センターで開催された「情報に関する技術」におけるプログラミングの指導及び題材研究」の際に上岡先生と出会ったことに端を発しています。その後、授業でプチコン3号を使用したいという連絡をいただき、今回のワークショップを開催するに至っております。ニンテンドー3DSというゲーム機を授業に取り入れるに際しては、学校への説明や、授業の準備で非常に大変であっただろうと想像します。これからも、プログラムに対する抵抗感を払拭し、生徒の興味と関心を高める先進的な授業の革新を進めていただけることを期待したいと思います。

 最後に、2020年に施行されるプログラミング教育を受けた小学生が卒業した後、その生徒を受け入れるところとして中学校は、その先の高校は準備が出来るのか、という事を教育現場の方々と課題として共有しました。皆さんご準備できていますでしょうか。


4gamer.net に記事掲載いただいています。
ニンテンドー3DS「プチコン3号 SmileBASIC」を使った中学校の授業から見えてきた“義務教育過程におけるプログラミング教育の意義と課題”