今回はちょっと趣向を変えて、音声フォーマットの変換にまつわるあれこれです。
『アクションゲームツクール』で主にサポートしているのはWAV形式/AIF形式です。手持ちの音声ファイルがMP3形式で使えない……、はたまたWAV形式ではあるけどそのままではファイルサイズが大きすぎて作ったゲームが「重たい」ファイルになってしまう……、そんなときにちょっと役立つかもしれない小技をご紹介します(※本当に小技なので、できればがっかりしないでください)。
iTunesを使ったファイル形式の変換
音声ファイル形式を変換するためのソフトはそれはもうたくさんありますが、ここではフリー(無料)・最初から最後まで日本語が通じる・説明がいらないほど有名、ということでアップル株式会社様のiTunesを使ってみます。
iTunesは音楽ライブラリ/プレーヤーソフトとして知られていますが、柔軟な変換機能もついています。
ためしに、MP3形式の音声ファイルから、WAVファイルを作成してみましょう。
※iTunes 8.2を基準に解説しています。
- メニューの[編集]→[設定...]を開きます。
- [一般]タブ→[インポート設定...]ボタンを押して設定を開きます。
- インポート方法に[WAVエンコーダ]を選択します。設定はいまはとりあえず[自動]でもいいでしょう。
- それぞれ[OK]ボタンで設定ウィンドウを閉じたら、shiftキーを押しながらメニューの[詳細]→[WAVに変換...]をクリックします(shiftキーを押していないと、このメニューが出てこないので注意!)。
- 変換ダイアログが出てくるので、WAV形式に変換したいMP3ファイルを選択します(複数選択もできますよ)。選択したMP3ファイルもそのまま残るので心配はいりません。
- 変換に少し時間がかかった後、変換されたファイルがiTunesライブラリの中に追加されるでしょう。
このファイルを取り出すのに一番てっとり早いのは、iTunesライブラリからお好きな場所にドラッグ&ドロップでコピーすることです(ライブラリで選択してからctrl+Rキーを押して、元フォルダを開くこともできます。もっとくわしくはiTunesヘルプをごらんください)。
これでMP3ファイルからWAVファイルを作れました。
(3)の手順でインポート方法を変えれば、逆にWAVファイルからMP3ファイルを作ることも可能です。SWF出力機能を使うときに役立つかもしれませんね。
ファイルサイズが大きすぎた時は……
※ここで説明する方法は、あくまで音質とひきかえにファイルサイズを小さくする方法です。原音より音質が向上することはないので注意してください。
上の手順でできたWAVファイルのファイルサイズは、配布や受け渡しには大きすぎるかもしれません。
そんな時は手順(3)で設定に[カスタム...]を選んで、設定を変えて出力してみるのもいいでしょう。
一般に音質を低くするほどファイルサイズは小さくなります。どの設定が最適かは元になる音声やお好みによって変わってきますが、見当がつかないときはとりあえずサンプルレート:22,050kHz、サンプルサイズ:8ビット、チャンネル:ステレオあたりを基準に、高くしたり低くしたり試してみるといいかもしれません。
もう1つ実用的な方法は、ADPCM方式に変換することです。
※ただし「Microsoft XNA テンプレート形式」の書き出しではADPCM方式に対応していません。注意してください。
一般的なWAVファイルは、WAV形式の中でも「PCM」方式でデータ化されています(iTunesで変換したファイルも同じです)。
これをアクションゲームツクール1.01以降でサポートされた「ADPCM」方式にすることで、さらにファイルサイズをコンパクト化することができます。
データの内容にもよりますが、多くの場合ファイルサイズが半分~1/4ほどに劇的に変化しますから、試してみる価値はあるかもしれません。
ADPCM方式に変換するソフトもいろいろありますが、いちばん手ごろなのはWindowsに付属している『サウンド レコーダー』でしょう。
環境にもよりますが、[スタートメニュー]→[すべてのプログラム]→[アクセサリ]→[エンターテイメント]と探すと見つかりませんでしたか?(見つからなければ「検索」機能で「サウンド レコーダー」を検索!)
『サウンド レコーダー』を起動したら、変換したいWAVファイルを開きます。
さっそく[ファイル]→[名前を付けて保存]を選択。[形式]の[変更...]ボタンを押して、形式に[Microsoft ADPCM]を選んでおきましょう。[属性]の設定には悩むところですが、見当がつかないときはとりあえず22,050 kHz, 4 ビット, ステレオあたりを基準に、高くしたり低くしたり試してみるといいかもしれません(ちょっと前にも似たようなことを書きましたね)。
WAVファイル(PCM)をADPCM方式にまとめて変換
前段落では『サウンド レコーダー』を使ったADPCM方式への変換について説明しましたが、ゲーム製作中にはたくさんの音声ファイルを使って、1ファイルずつ変換するのが面倒になることもあるかもしれません。
ちょうどこういう用途に合ったソフトが株式会社エンターブレイン様から配布されています。
『ChangeWave』というソフトは、複数のWAVファイルを一度にまとめてADPCM方式に変換するソフトです。
ChangeWaveの使い方は簡単。起動したら[変換元フォルダ]と[変換先フォルダ]を選んで[変換]ボタンを押すだけです。
[変換元フォルダ]に変換したい音声ファイルをまとめて入れておけば手間いらずなのは言うまでもないでしょう(変換元と変換先を同じフォルダにすると、元データが消えて変換後のデータだけが残ってしまいますので注意してください!)。
ChangeWaveの[オプション]設定は[元データと同じ]を選んでおくと安心かもしれません。さらにファイルサイズを小さくしたければ、あえて低音質の設定を選ぶという手もあります。