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探偵が暴く! スマイルブーム調査報告

探偵がスマイルブームの神秘のベールに挑む! はたして彼らの正体は? プライベートは? 趣味は? 好みのタイプは? むくわれない探偵にはげましのおたよりを!

死の記憶

 私は探偵である。
 本名は探田偵介48歳、筋肉痛はいつも2日遅れ。気さくに探偵と呼んでほしい。

 この仕事(探偵ではもちろんない)をしていると、一度ならず危険な目には遭うものだ。生命の危機に陥ったこともしばしば、と言っていいだろう。
 諸君もたとえばスラムで屈強な悪漢達にペッツを突きつけられたり、ジャングルで凶暴な森ガールの群れに襲われたりといった危険に遭遇したことはないだろうか?
 今回、探偵がスマイルブームのスタッフに対し調査する問題とはこれだ。

あやうく大ケガになりかけた事件について

 ソフト開発の現場といえど、一歩外に出ればあらゆる危機が、陰謀が、死の影が待っているという。探偵は秘密裏にスタッフ達と接触、事件の詳細を聞き出した。

証言A

「遊園地ですかね。あれ何ていうんでしょうか、柱のまわりにブランコの席があって、だんだん真ん中の柱が回転してブランコが外側に吹き飛びそうになってくような……」
 おそらく回転ブランコだろう。たしかにメンテナンスの不備によっては大事故につながりかねない遊具だが……。
「ベルトの留め具がまったくついていない状態で動き出しました」
 メンテナンス以前の問題だ。係員は何をしていたのか。そしてどうやって生還したというのか。
「それはもうガッチリしがみついて。係の人は何か責任感のなさそうなアルバイトっぽい兄ちゃんでしたよ」
 係員の問題はさておき、回転している間は一大絶叫マシーンだ。

証言B

「居酒屋のオヤジと口論になって……」
 アルコールが入った席でのけんか沙汰は、スコッチと煙草の世界に生きる探偵のよく知るところだ。
「お互い胸ぐらをつかみあった瞬間、相手の腕が丸太みたいに太いことに気が付いたときは、ああ俺死んだって思いましたね」
 なんという絵にならない展開だろう。けんかはまだ始まってもいない。
「実際に殴り合いにならずにすんで事無きを得ました」
 正しくテーマに沿った証言ではあった。

証言C

「車の助手席に座ってたら、信号無視の車が横からちょうど助手席に突っ込んできて、廃車になるくらいの大事故になりました」
 マフィアの口封じだろうか。などと言ってられないほどの危険である。
「でも私は無傷だったんですけど」
 なんで!?
「危ないって思って体を丸めたので、助かりました」
 本人はあくまでそう主張するのだが、そういうものなのだろうか。

証言D

「ケガというか、1、2歳のころ42度の高熱を出して生死の境をさまよったそうです」
 わりと大変だ。
「小さい頃のことなんでほとんど何も憶えてないんですが、ぼんやりと病院のベッドに寝ている記憶と、それを上空から眺めていたような記憶がうっすらと」
 ついに事件はオカルトの域に踏み出しつつある。

証言E

「記憶がないといえばオレが生まれる時は、親がトイレで産気づいたそうなんだが」
 ピンチという点では最大級のクライシスと言えるだろうが、何かちがう。
「じゃあかなり危なかったのは、たまたま背中合わせの場所に立ってた友達が、金属バットの素振りをし出して」
 もはや計画殺人かどうかという域だが。
「まあスイングの後の戻りとはいえ、後頭部に直撃だったから危なかったよ」
 本当に当たっちゃったのか。色々と不可解な事件ではあった。

証言F

「子供の頃のことで、どういう経緯で起こったのか記憶がないんですが……」
 幼い頃の記憶。これが今回の事件(事件?)のキーワードだろうか。
「市電にひかれかけました」
 大変だ。
「どうも当時の私は右車線・左車線の意味がよくわかっていなかったらしく、左から電車が来ないか注意しながら車道を渡ろうと足を踏み出したみたいです」
 あまり頭のいい子供ではなかったようだ。良い子は信号のある場所で横断歩道を渡るように。

証言G

「塀(へい)を突っ切る近道があったんだけどさあ、それで何を思ったのか、塀に手をついて前転で飛び越えようとしたんだよね」
 早くも惨劇の予感がする。弁護士を同席させるべきだろうか。
「ちょうど体が180度の回転したあたりで……『あれ? もしかして失敗するんじゃないか?』って気がしたと思ったら、もう頭から地面に落っこちてたね」
 子供らしい失敗と言えば言えるが、危険な状態だ。何事もなくて良かった。
「でも22歳の頃の話だよ」
 もしこの結果、鑑識が動くような状態になったとしたら、誰もが経緯の把握に苦労したことだろう。

証言H

「(某バンド)の解散ライブで先頭ブロックの券がとれたんだけど、そこオールスタンディングでけっこう後ろからギュウギュウ押されて」
 バンド名については特に名を秘すが、その程度ならばライブではよくある話では?
「ただアンコールのあたりで、ボーカルがたぶん客席に何かを投げたと思うんだよね」
 つまりよく見えなかった、と?
「ていうのも、後ろの方からファンが殺到して将棋倒しになって潰されたから。その後は下敷きになって踏みつけられて、息もできないしもう死ぬんだなって思った」
 これは大事故ではないのか。
「ケガはなかったよ」
 強じんなレスラーの武勇伝のような話にまとまってしまった。

    調査報告

  • 記憶を掘り起こすと意外に誰もが心当たりがあるようだ
  • そして意外にみんな無事だ
  • 頭を打ったら念のためすぐ病院に行くように
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